■483.fwf4×2(ロ/901023 三原町西川




人間の情熱というものは、すごい。
世の中にはいろんな変わったことをする人がいるが、今回とりあげる農民車もそうした
変わったことをする人が造った、おそらくは農民車業界で唯一無二の車両。
この写真の角度からは、ぱっと見、ヘンには見えないが、大変に変わっていて、
半ば呆れてシャッターを押した覚えがある。
こんなのを撮影するほうも相当ヘンなのだが…。

運転席の左横には、なにやらタコ足もどきのレバーとチューブが四本ずつ生えている。
油圧の操作装置らしい。
その前のエンジンとの間には、これもおそらく油圧ポンプ。走行用エンジンと共用で、
四本分の油圧シリンダーを動かすのだ。
もともとは一般的なfwf4×2型の農民車で、
エンジンは歩行用耕運機のもののようだが、それで自走と四本油圧シリンダーの
パワーを賄えるのかどうか。
まあ、動かす対象の重さによっては十分かもしれない。
いったいなにを動かすのだろう?





■484.



これを造った人は、なんと農民車をショベルローダーに改造したのだ。
これをどう評価すべきなのだろう。
私のごときど素人が評価などとおこがましいが、
あえて言おう、無茶であると。
だいたい運転席は前を向いたままではないか。当然にハンドルも
フットペダルも運転者が前方に座るように造られたままだ。
とすると、後方バケットでものをすくう時は、バック時のように
上半身を捻じ曲げながら目標を見つつ、後進前進、左右方向、
ならびに油圧レバー四本を操作しなければならない。
これは、かなりの熟練を要するはずだ。
しかもブームのひとつひとつが長いから、レバー操作にはより
慎重さがいるだろう。うっかり勢いよく腕を振ってしまうと、
反動で車体が跳ねてしまうかもしれない。エモノが長いと動かすのも力がいるから、
やはりエンジンパワーはかなり要るはずだ。
また、いちばん後ろにある「押さえ」用と思われる鉄板のついたブームが特に面白い。
一般的なローダーには、このようなものはない。
バケットだけで充分にすくったモノを保持できるのだ。
それともこのブームは、奥のものを手前に掻き寄せる用途もあるのか?
バケットの角度を変えるためのリンクには、サイドミラーがついている。きっと、ちゃんと
モノがバケットに入っているかを見るためのものだ。芸が細かいのだが、
運転席からは遠すぎてよく見えかったのだろうか。

農作業でローダーを使うのは、主に地面の堆肥を持ち上げて運搬車荷台に
積む時だ。写真484.の左端に見えるのが、乗用耕運機にバケットのアタッチメントを
取り付けて、ショベルローダーにした実物だが、ここまでコンパクトにしないことには、
狭い堆肥置き場などでは動かすこともできない。
要するに、改造としては中途半端で安直だったと言えよう。





■485.fwf4×2(ロ/910720 三原町西川




これは前出写真の三か月ほど前に撮っていた写真。
ここは以前にも何度か紹介したことがあるが、なかなか個性的な試作品的農民車が
たくさん見られる場所だった。
外野から見ているかぎり、こういうシロモノは面白くて仕方ないので、
見つけると心拍数が上がる。
しかしまあ、造っている本人はどうなのか、試行錯誤しながら自分で機械を造るのは
楽しいとは思うのだけども…。




■486.fwf4×2(ロ/940424 三原町西川



三年くらいあとにも、まだそのまま置いてあった。
やっぱり失敗作だったんだろうけど、
これを造るのは大変かつ面白かっただろうなあ。








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▼派生型(特殊車両):fwf4×2(ロ

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